歯周病Q&A

歯周病についてお気軽にご相談下さい

歯周病の自覚があり、歯磨きはきちんとやっているのに,たびたび歯グキが腫れてしまうというかた。

歯グキがやせてきて、歯がだんだん長くなってきて気になる、というかた。

歯周病の結果として、歯を失ってしまったというかた。

是非ご相談ください。

(2001.6.8 FMアップルウェーブに出演した時の内容から)

Q.1

歯周病って、どんな病気なんですか?

A.1

みなさんは、どんな病気だと思いますか?

Q.2

歯周病というのは歯槽膿漏とは違うんですか?。

イメージとしては、歯ぐきが腫れて膿が出て、ぐらぐらしてきてついには抜けてしまう…。

A.2

そうですね、まず歯周病は俗に言う歯槽膿漏と同じ病気です。基本的には、バイ菌によって歯を支えている骨が徐々に失われていく病気なんです。

Q.2

歯周病というのは歯槽膿漏とは違うんですか?。 イメージとしては、歯ぐきが腫れて膿が出て、ぐらぐらしてきてついには抜けてしまう…。

A.2

そうですね、まず歯周病は俗に言う歯槽膿漏と同じ病気です。基本的には、バイ菌によって歯を支えている骨が徐々に失われていく病気なんです。

Q.3

じゃぁ、イメージ的にあたっているんですね!!

A.3

はい。もうちょっと具体的に説明すると、たとえば、健康な口の中を建物にたとえてみましょう。そうすると、歯は、口の中の柱になります。柱である歯は、状態のいい地盤、すなわち十分な量の骨としっかりとした基礎すなわち張りのある歯肉によって支えられているわけですが、歯周病になると、その基礎である歯肉に炎症が起きます。この状態をを歯肉炎といます。そして、それがひどくなると地盤である骨がなくなってしまうので、柱である歯は、支えているものがなくなってしまうのでぐらぐらしてくるわけです。

Q.4

へぇっ!怖い病気ですね。先生は、先程、歯周病の原因はバイ菌だとおっしゃっていましたけど、、、

A.4

はい。歯周病の原因は、バイ菌です。口の中には沢山の細菌がいるのですが、その中のある種の細菌が毒素や酵素をだして歯ぐきに炎症をおこすわけです。歯周病はこうした細菌による感染症の一種なんです。

Q.5

私は、よくコマーシャルなんかでいっている、プラークや歯石が原因だとばかり思っていました。

A.5

それは正解です。プラークは一般に歯垢ともいわれますが、プラークは実は細菌のかたまりのことで、この中にはたくさんの細菌がいるわけです。歯石は一般にこびりついた歯垢が石灰化してできるものといわれています。歯石をそのままにしておくと、ますます汚れが付きやすくなってしまうんですね。

Q.6

よく分かりました。歯周病はプラークの中にいる細菌によって起きる病気なんですね。でも、歯周病になっているかどうかは、すぐ分かるんでしょうか?

A.6

残念ながら、初期の段階では自覚症状がほとんどないんです。ゆっくりゆっくり少しずつ進行していきます。そしてかなり進んでから、歯ぐきが腫れたり、膿がでたり、動いてきたりするわけです。

Q.7

えっ!じゃあ、自覚症状がないということは、知らないうちに罹っているんですか?

A.7

ええ、たとえば、30代後半の方では、もうすでに、歯周病になっている方が50%、すなわち2人に一人は歯周病になっていると言われています。

Q.8

怖いですね!では、歯周病になるとどういった自覚症状がでるんでしょう。簡単にチェックする方法とかないんでしょうか?

A.8

分かりました。では、4つのチェックポイントをお話ししましょう。一つ目は出血です。歯ブラシの時に出血するとか、リンゴを食べると血が出る、とかがポイントです。

Q.9

まず、出血ですね。2番目は?

A.9

2番目は口臭です。細菌が酵素や毒素を出して骨がなくなっていくわけですから、においもしてくるんです。プラークや歯石がたまることによって、食べかすなどがつきやすくなり、においのもとができるんです。

Q.10

2番目は口臭ですね。3番目は?

A.10

3番目は、冷たいもの、熱いものがしみる、という点です。歯を支えている骨が失われるわけですから、結果として歯の根っこ、歯根といいますが、歯根が露出し、歯が長くなったように見えてきます。本来歯肉の中にある歯根が見えてくるわけですから、当然あついものや冷たいものに敏感になるわけです。

Q.11

3番目は、熱いものや冷たいものにしみやすくなっているかという点ですね。最後のチェックポイントは?

A.11

4番目のポイントは、歯の動揺です。歯がぐらぐらしてきた場合はかなり進行した歯周病になっていることが疑われます。ちょっと疲れた時など歯がうくような感じがする、このような状態がでた場合は早めにかかりつけの先生にみてもらうことです。

Q.12

そうですか…。では、もう一度復習すると、出血、口臭、しみる、動揺、この4つですね。(はい。)こういった症状がでたら、早めに歯医者さんにいってみてもらった方がいいんですね。それから先日、先生にお会いしたときに、歯周病が女性に多いというお話も聞きましたが。

A.12

これはアメリカの歯周病学会が1999年に一般公開したデータですが、30~54歳までの女性の少なくとも23%が歯周病にかかっているんだそうです。しかも55~90歳までの女性の44%はすでに歯周病にかかっているそうなんです。

Q.13

それは、どうしてなんでしょう?

A.13

それは、女性の場合、歯肉を含む多くの組織に影響を与えるホルモンの変動が、生涯にわたってあるから何です。思春期や、妊娠時、更年期にはそのバランスが崩れると炎症がひどくなるといわれています。さらに、驚くべきことは、歯周病になっている女性が妊娠した場合、早産や低体重児を生む確率が7倍になると報告していることです。これは、あくまでアメリカでのデータですから日本人もそうだとは限りませんが、十分、注意が必要だということには変わりないと思います。

Q.14

それでマタニテイー教室というのが大切になるわけですね。弘前ではマタニテイー教室があるとのことでしたので、どうしても歯科医院に行けない人は、そこで相談されてみるのもいいですよね一。ほかにも歯周病と関係のあることはあるんですか?

A.14

最近では、全身の健康と歯周病が非常に関係があるといわれています。たとえば、糖尿病,骨粗髷症などの病気もその一つです。糖尿病は感染に対して組織の低抗力が低下しますので歯周病は悪化しやすい状態になりますし、骨粗髪症は、全身の骨と同様、歯の周りの骨も溶けやすくなってしまいます。逆に、歯周病を治すことでこれらの病気も回復に向かうという報告もアメリカででているようです。

Q.15

歯周病というのは本当に日常の生活とか全身の健康とかに深くかかわっているんですね、何かここまでお話を聞いてみて、歯周病というのは本当にこわい病気だなあ一と思いました。では、歯周炎になってしまった場合、どうするかについてなんですが、その治療法についてお話してもらいます。 さて、ここまで、歯周病というのがどんな病気かということがわかりましたが、 かかってしまつている場合どうしたらいいんでしよう。歯周病は治療できるんでしょうか?

A.15

はい、歯周病の原因はバイ菌であるということを先程お話ししました。そのバイ菌のすみかであるプラークや歯石を取り除くことが、治療の一歩なんです。

Q.16

よく「歯石をとりますよ」って歯医者さんに行くと言われますが、それですね?

A.16

はい。ただ、むやみやたらに綺麗にしているわけではないんです。最初に、歯周病がどの程度進行しているか、診断するために、歯肉からどのくらい骨が吸収しているかプローベという針のようなメジャーでチェックします。また、必要に応じて、何枚かのレントゲンを撮って歯肉の中に歯石がないかとか、実際に測定した骨の形をレントゲンから判断します。その結果、歯周病の程度が診断されて、治療する計画が立てられるわけです。

Q.17

歯周病の程度、すなわち軽い場合とひどい場合とでは治療法もちがうんですね?

A.17

はい。程度が軽い場合はプラークコントロールといわれる歯垢の除去、すなわち歯ブラシや衛生士さんによるよごれの除去と、歯石を取るスケーリングによって状態は回復していきます。ですが、歯周病が進行している場合には、歯肉の中の歯石を取るために、麻酔をしたり、場合によっては歯茎を少し開いて歯石を取るという手術をすることもあります。

Q.18

歯槽膿漏の手術というのはすごくこわいイメージがあるのですが、本当は歯石をとることの延長線上にあるもんなんですね、、、。

A.18

そうですね、手術は歯肉の中の歯石を取るだけでなく、歯ぐきの形を整えたり、できるだけ長く機能させるために歯肉の移植を行ったり、新しい方法として特殊な膜を用いたりやタンパクを使って歯を支える組織を作ろうとするものもあります。

Q.19

じゃ、歯は抜かなくてもすむんですね?

A.19

もちろん、歯は抜かなくてもすむことが多いと思います。できるだけ歯を抜かないようにするのが手術の目的ですが、進行状態や歯、骨、歯肉の形や量によって、すべて元通りになる訳ではありません。私たちが行っている治療は、一度地盤が緩くなったところ、基礎が崩れてしまったところの環境整備をしているようなもので、100%元の状態に戻すことは不可能にちかいんです。

Q.20

歯は抜かなくてもすむけれど、状態によっては抜く場合もあるということですね。

A.20

はい。保存できないと診断された場合には、歯を抜いてしまうこともあるんです。それから、歯周病の治療は、虫歯の治療と違って、悪い部分を削って、詰めたりかぶせたりするわけではないので、人によって進行状態が違うので、治療の回数にも差があります。また、一度治療がうまくいっても、歯周病はバイ菌による感染症ですから、また、再発してしまうこともあるんです。たとえば、今年風邪を引いたから、もう風邪は引かないかというとそうではないですよね。

Q.21

では、歯周病は治らないということですか?

A.21

いえ、そうではないのです。程度が軽ければ、回復します。進行している場合には非常に難しいのです。先程もいいましたが、歯周病の治療は、あくまで、柱である歯を支えている骨や歯肉といった、地盤や基礎の環境整備だということです。ですから、患者さんのもっている環境によっても異なるわけです。

Q.22

環境といいますと?

A.22

環境というのは個人差ということになります。たとえば、同じ治療を行っても同じ結果がでないことがあるんです。アメリカでは、現在、歯周病が治りにくい原因として、糖尿病、ストレス、たばこ、遺伝子の4つの因子をあげています。ですから、歯周病の予防や治療には、禁煙や節煙も大切になりますし、歯周病になりやすい家系もあるということなんです。

Q.23

なるほど、できるだけ歯周病にならない環境づくりをした方がいいわけですね。

A.23

そういうことになりますね。ただ、個人差は、環境だけでなく、人間ですから、一生懸命治そうと努力しても、うまくできない方もいます。たばこに関してもそうですが、やめろといわれてもそう簡単にできるものではありません。そうした場合には、逆に、歯科医や衛生士さんを大いに利用していただいて、プラークや歯石を取ってくれるよう、御願いしたほうがいいと思います。そうすると気も楽でしょう!

Q.24

気になることがあるのですが、このような歯周病の治療に、お金はかかるんでしょうか?

A.24

歯周病の治療は、通常保険がききます。歯石を取ったり、ブラッシングを指導してもらったり、歯肉の中にある歯石を取る簡単な手術も保険で行えますから安心してください。

Q.25

それでは歯周病を予防、再発させない為に大事なことを教えてください。

A.25

まずはブラッシングです。基本的にはその日についたプラークはその日のうちにとるというのが原則です。また、一生懸命歯ブラシしても、人によって磨けない場所、力の入りやすい場所があります。その場合には、いろいろな補助用具も使ってみたらどうでしょうか?

Q.26

ここにいくつかもってきていただいているのが、その補助用具ですね。この細くて試験管を洗うようなブラシになっている、これも歯ブラシですか?

A.26

はい、歯間ブラシといいます、これは歯と歯の間に差し込んで使います。糸ようじやフロスなども同じような役目をします。爪楊枝代わりではないのですが、歯と歯の汚れを取るのに有効です。

Q.27

これは、電動歯ブラシですよね?

A.27

電動歯ブラシについては、一長一短です。基本的に手で歯磨きができた方がいいのですが、力が入りすぎてしまう人、横磨きよりは電動ブラシの振動の方が有効な場合もありますから、患者さんのタイプによって使う機種も選択していただくことをお奨めします。

Q.28

なかでも目を引くのが、このミッキーの電動歯ブラシですが、とてもかわいいんですね。

A.28

これは、自分の子供に使わせてみているのですが、歯ブラシをするという動機付けにはもってこいです。しかも、毛の部分が回転、振動しますし、大きさもちょうどよく、お母さんの仕上げ磨きにはもってこいかもしれません。歯ブラシは楽しいものなんだと教えてあげられるといいのですが、その結果はまたの機会に報告させていただきましょう

Q.29

いろいろな補助器具があることも分かりました。私たちが歯周病にならないよう歯磨きすることが一番の治療法なんですね。

A.29

そうですね、患者さん自身が歯周病に関心を持って自分で歯ブラシしてもらいながら、定期的に、最低半年ごと、できれば2,3ヶ月ごとに初めはチェックしてもらうことをお奨めします。